ブロードバンドネットワークの進化にともない登場したVPN。
コストカットや業務の時間短縮などが求められる今、VPN がビジネスシーンで活発に導入されています。
VPNは、ひと昔前は限られた企業しか実現できなかった専用線に変わる、新しい通信技術です。
今回はVPNとはどのような仕組みなのか、導入することでどのようなことが実現できるのかなどを説明します。
VPNの仕組みを知れば活用度の高い技術であることがわかるでしょう。
<参考>VPNにも使える100ギガsim「bsim」
実は難しくない!VPNの仕組み
VPNは公衆回線を使って構築する仮想のプライベート・ネットワークです。
VPN機能搭載ルーターなどのVPN装置を使い、離れた場所にいてもデータや情報の共有が可能になる技術です。
VPNのメリットは専用線よりもコストがかからないことです。
特にインターネットVPNなら通常のインターネット回線契約を利用するため安価なのが特徴です。
VPNの登場以前の、専用線で事業所間を結ぶの方法は物理的な距離の問題により、コストと時間がかかるというデメリットがあります。
そこで1990年代に登場したのがFR(フレームリレー)です。FRはパケット通信方式の一種で、当時は専用線よりコストパフォーマンスが高いのがメリットでした。
しかし、ブロードバンドが主流になり帯域幅などの問題でニーズが減ってしまい、2011年にサービスが終了してしまいました。
VPNは2000年代になってから活用が進んだネットワーク技術で、IT技術と仮想化技術の発達が背景にあります。
低コストのメリット以外に、データ通信も安全性が確保されているため、導入する企業が増えています。
インターネットを使うVPN接続の仕組みと特徴
地理的に離れた場所にある事業所同士をVPN接続するには、両方の事業所にVPN専用ルータを設置してLANを接続します。
これによりインターネットを介して仮想専用回線が作られ、離れた場所にいてもお互いのサーバにあるデータにアクセスすることが可能になります。
共通のLANにつながれるイメージになりますから、離れていても同じようにファイルを共有し作業をすることができます。
VPNを通してやり取りしているデータは暗号化などのセキュリティ対策が取られているため、情報漏えいなどのリスクも少なく済みます。
暗号化はVPN専用ルータがすべて行ってくれるので、個々のデバイスにかかる負担も軽減されます。
大量のデータをやり取りする企業間においてVPNはおすすめの仕組みと言えるでしょう。
IP-VPNで使うVPN接続の仕組みと特徴
VPNは2種類にわけられますが、次はもう1種類のIP-VPNについて解説します。IP-VPNとは大手通信事業者が用意している閉域網を利用したVPNのことです。
閉域網とは通信事業者と契約を交わした人のみが利用できる、閉ざされたネットワークのことです。閉域網を利用するため、IP-VPNはセキュリティ面の信頼度が高く、情報漏えいや盗聴の心配がありません。このことから一般的には暗号化は実施せず、通信レスポンスが速いのが特徴です。
回線品質は常に通信事業者によって監視されているため安定しており、回線速度も帯域保証内であれば安定しています。専用線を構築するよりコストが安いのもメリットですが、インターネットVPNと比べると費用は高くなります。事業所間をイントラネットでつなげたいものの、インターネット上でデータをやり取りするのは不安という場合におすすめの形態です。
VPNでできることとは?
VPNで接続する形態には拠点間接続とリモート接続があります。拠点間接続とは離れた場所にある事業所をVPN装置でつなぎ、LANを形成する方法です。ルータでつながった事業所はお互いのコンピュータにアクセスすることができ、データ共有が容易になります。
一方、リモート接続とは出先にいながら会社のコンピュータにアクセスできる接続方法です。会社にはVPN装置を設置し、アクセスに使用するコンピュータやスマートデバイスにVPN接続が可能になるソフトウェアをインストールします。リモート接続はテレワークや出張先などでも社内業務が可能になるのがメリットです。
今後ますます多様化する労働形態にも対応できるので、働き方改革の一環で利用される方も増えています。
VPN とは
VPNとはVirtual Private Networkの略で、専用回線を持たなくても安全なネット通信を実現してくれるテクノロジーとして、注目されています。例えば法人ユーザーの場合、企業機密に関する情報をやり取りすることは多いものです。以前なら、職場のパソコンを使えば安全なネット通信ができたので問題ありませんでしたが、近年はスマホやモバイルPC、タブレットを使う機会が多く、専用回線以外の通信方法でも高い安全性を確保しなければいけません。
そこで注目されているのがVPNなのです。この技術は1990年代から使われていたので、最新技術というわけではありません。しかし近年注目されているのは、VPNの中でもインターネットのアクセス回線とは隔離されたネットワークを利用するIP-VPNというものです。
一般的なインターネットVPNでは、ネット回線を契約することで、VPNの構築ができます。これは不特定多数のユーザーがアクセスでできるという特徴があるため、法人の機密データを取り扱う環境としては適していません。
そこで開発されたのが、IP-VPNというもので、サービス品質保証(SLA)付きでの提供となるほか、閉域網を利用するので回線が混雑しにくいというメリットがあります。コスト面では割高になるものの、セキュリティが強化でき、データの盗難や改ざんのリスクを低く抑えられるという点で、法人ユーザーから高評価されています。
VPNの仕組み
VPNの仕組みは、インターネットVPNとIP- VPNとで異なります。まずインターネットVPNの場合には、リモートアクセス接続と拠点間接続を主な目的としているため、セキュリティという点においてはIP- VPNほど安全ではありません。この仕組みですが、接続したい場所にVPN専用のルータを設置し、LANによって接続します。これによって、インターネット経由で仮想の専用回線が作られるため、お互いのサーバにある情報に対して自由にアクセスできるようになります。インターネットVPNはIP- VPNと比較するとセキュリティ面で心配ですが、全くセキュリティ対策できないというわけではありません。VPNルーターによって仮想の専用回線が作られているので、一般的なネットで情報をやり取りするよりもずっと安全です。
一方、IP- VPNの仕組みは、仮想的に専用回線を作り出すというわけではなく、通信事業者と特別な契約をする事によって、限られたユーザーしかアクセスできない閉域網を確保するという方法です。もともと一般ユーザーはアクセスができないエリアなので、インターネットVPNと比較すると格段に高いセキュリティ対策ができるのです。
VPNの事例
VPN環境を整備すると、法人ユーザーにとっては大きな働き方改革ができます。例えば、VPNを利用することによってリモート接続が可能となり、自宅や外出先から職場のパソコンへアクセスできるようになります。職場の側にはVPNルーターを設置するとともに、アクセス管理を行うコンピューターやVPN接続を管理するソフトをインストールし、誰がいつどこからアクセスするのかを管理することができます。このリモート接続が普及すると、出社せずに自宅で作業をするテレワークが可能になりますし、出張中でも社内業務をこなすこともできるようになります。